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2019-07-03

世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?【読書memo】


世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?を読みました。

山口周さんは、美術史を専攻されてから組織開発のコンサルティングをされていらっしゃいます。

「忙しい読者のために」、というページから抜粋で

  1. 論理的・理性的な情報スキルの限界が露呈しつつある→正解のコモディティ化をもたらしている

  2. 世界中の市場が「自己実現的消費」へ向かいつつある

  3. システムの変化にルールの制定が追いつかない状況が発生している→自分の美意識に照らして判断する態度が必要

という大きく3つのテーマで、書かれています。

  • なぜ、オウムは高学歴の人物たちによって成されたのか
  • またそれに似た仕組みをもつ業界はどこなのか
  • どのように組織を構成していけばいいのか
  • 歴史を辿ると成功したのはどのような組織であったのか などなど

と様々な事例から説明をされています。

本書で最も気になったのが「デザイン思考」と「創造の手法」の違いです。

デザイン思考では、顧客の行動や使用現場を徹底的に観察し、経験価値を設計するというプロセルで商品を開発しますが、マツダのデザインアプローチはむしろその逆です。

デザイン思考というのは問題解決手法であって、創造の手法ではありません。
従って、ゴールは「問題が解決されること」であって、そこに感動があるかどうかは問われない。

しかし、マツダが目指しているゴールは異なります。彼らがこのユニークなアプローチの末に追求しているゴールは「感動の提供」だということです。

マツダは前田育男氏のリーダーシップのものに、ロードスターをはじめラグジュアリーカーのセグメントで多くの賞を国内のみならず海外でも受賞しています。

徹底的に現場を調べ、ユーザーの視点を学び、共感し、そこから何度も試作品を作り、そして作り上げ、検証していくデザイン思考のやり方は判断基準がクライアント側(市場)にあり、クライアント(市場)の種類によって出来上がるものも変わってきます。問題解決の問題は市場にあるので当然ですね。

「市場」という外部から、自分の美意識という内部への、判断基準の転換が求められている

と書かれている通り、マツダが世界のトップブランドになるために日本の伝統的な美意識を活かすことを考え、「魂動:Soul of Motion」というデザイン哲学を決めたことです。具体的なデザインや形状を決めるものではなく、自由なデザイン発想の根元にこのデザイン哲学をしっかり据えているそうです。

マツダが狙っているのは「顧客に好まれるデザイン」ではなく「顧客を魅了するデザイン(上から目線)」ということです。商品の目的によって、問題を解決するのか、それとも感動させるのかで手法が変わってくることがわかりました。

センスの悪い国で精密なマーケティングをやれば
センスの悪い商品が作られ、その国ではよく売れる。

センスのいい国でマーケティングを行えば、
センスのいい商品が作られ、その国ではよく売れる。

商品の流通がグローバルにならなければ
これで問題はないが、
センスの悪い国にセンスのいい国の商品が入ってきた場合、
センスの悪い国の人々は入ってきた商品に触発されて目覚め、
よそから来た商品に欲望を抱くだろう。

しかしこの逆は起こらない。(中略)

ここに大局を見る手がかりがあると僕は思う。
つまり問題はいかに精密にマーケティングを行うかということではない。
その企業が対象としている市場の欲望の水準を
いかに高水準に保つかということを同時に意識し、
ここに戦略を持たないと、
グローバルに見てその企業の商品が優位に展開することはない。

原研哉「デザインのデザイン」

グローバル化が進んだ社会で、どこでも起こること。センスの良さは優位性を持つということ。

経営の意思決定においては「論理」も「直感」も、高い次元で活用すべきモードで、両者のうちの一方が片方に対して劣後するという考え方は危険だという認識の上で、現在の企業経営は、その軸足が「論理」に偏りすぎているというのが、筆者の問題提起だと考えてもらえばと思います。

どうしても直感やアートな考えは数字にならない。だから裏付けがなく、ないがしろにされがち。けれど、直感というものは「勝ちに不思議の勝ちあり」「負けに不思議の負けなし」という言葉にもあるように、勝ちは論理で説明できない部分もあるが、負けは論理で説明できるという、そんな不確定な部分を補うものだと思います。

「すぐ役立つ知識はすぐ役立たなくなる」慶應義塾塾長 小泉信三

分かりやすいものを求められ、分かりやすいものだけが繁殖しているような世の中、これは理解や感じることの網目がざっくりと単純化してきているのだろうと思います。本では、古典や詩に触れたり、美術館や音楽など、あとあとじわじわと感じられるような、そんな作品に触れるべしとのことです。

バラバラと紹介しましたが、これからの企業経営に有用な本だと思いました。日本には世界から賞賛される特有の美意識があるので、そこを意識することも大事ですね。

 

 

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